「旅猫リポート」なんでこんなに泣けるねん
何度もいうが、私は一回読んだ本はめったに読み返したりはしない
それは、大好物の古典推理小説にしてもそう
なぜなら、私はこの世に出ている本を少しでも多く読みたいので、一度読んだものは余程、心に残らない限りは読まずに、次の本に手を出してどんどん多くの本を読んでいくという考えを持っているから。
ただ例外として、これだけは定期的に読んでます
私が持ってるのは単行本と絵本なんですけど
↓大まかなあらすじはここに書いてます(初期の感想だから下手だけど)
表紙はコロボックルシリーズで有名な村上勉さん↓
「旅猫リポート」の単行本は表紙を外すと作中の悟とナナの名場面が描かれているんです
だから、単行本を買って家で大切に保存してるのですが、また先程読んでしまった
もうね、泣くのが癪で様々な難癖を付けて読んでみたんです
「飼い主が飼い猫に言ってほしいことを詰め込んだ願望みたいな本じゃないか」とか「動物ものは基本、お涙頂戴なんだよ」とか
挙句の果てに、Amazonの星1アンチレビュー読んだりして…涙を無理矢理止めようとしたんですけど、だめだ止まらない。
なにがそうさせるのか考えた
①猫のナナが語り手であるところ
基本ツンデレで、言葉遣いも荒いのに悟を想う言葉が端々ににじみ出ている
②ナナは悟が自分を飼えなくなった理由を知っているのであっさりと受け入れる
元野良猫のナナは人に飼われずとも生きていけるのに悟と里親を探す旅に出る。それは、悟の本心を見抜いていたから。
本当は悟だってナナを手放すつもりなど毛頭ない、それでも二人は旅を続けた。
その理由は、ここではネタバレになるから書けないけど
この先何が起こったとしても一緒にいよう、言葉を交わさなくても分かり合っているから、信じあってるからという思いが伝わった
そこが、とても愛おしくて泣けてくるポイントなんだと思う。
③言葉が通じない人間と動物だから良いというのもある
例えば、ナナが花畑で姿を見失い悟が探し出した場面で
ナナに「一人にしないでくれよ」と言うのだけども
悟にとってナナは唯一、弱音を吐ける存在
それに対してナナは悟の寂しさなどずっと前から知っていたという意味の言葉をかける
ここで、初めて自由気ままなナナという猫が悟を守りたかった理由が分かるんですわ
そしてもうひとつ
ナナから離れる時にムリに着いていこうとするナナを悟がケージに閉じ込めて出ていく時に交わされた言葉
ナナ「悟のバカ!大好きだ!」
悟「僕だって大好きだ!」
置いていかれようとしているのにナナは悟にこんな言葉をぶつける
しかもなぜか、猫語で言ってるはずなのに悟に思い切り伝わってる
でも、悟の育てのおばさんや悟の友達から見るとナナはただ、ニャーニャーいってるだけなのに、悟とナナはなぜか言葉を理解し合っている
そこに、なにか…グッとくるものがある(語彙力)
これが、仮に人間通しだったとしたら言葉で、互いの思いや感情などをぶつけることができるけど「旅猫リポート」の場合は人と猫だから言葉も通じないしもどかしいところもあるけど、心の奥底で想い合ってる二人しか分からない世界があるのが読者に伝わる
④異種族同士の絆の最高形態の理想
お涙頂戴だろうと関係ない
ペットを飼っている人なら知っている、人は動物と心を通わせる事もあることを
二人の想いがダイレクトに読む人にぶつかってくるから、ここまで泣けるんだと思う。
悟の友達がみんな良い人すぎてそれもまた、この物語をさらに泣けるものにしているのもある